(1)化粧品分野での利用
ヒアルロン酸のもつさまざまな機能や働きの中でも、最大の特徴は高い保水力をもつことです。皮膚の細胞をはじめ、全身の細胞が潤いのあるしなやかな状態にあるのは、ヒアルロン酸を含むムコ多糖が存在しているからです。このヒアルロン酸は水分を含むと弾力性をつくり出し、張りのある生き生きとした肌にするのです。
このようなヒアルロン酸の特性を利用して1980年代からヒアルロン酸を化粧品に用いる研究が始まりました。クリーム、化粧水、乳液、パックと各種の基礎化粧品などが開発され、現在では、化粧品といえばこれらのヒアルロン酸やコラーゲンを連想する方も少なくないでしょう。
皮膚の下には、弾力性のあるコラーゲンが繊維状となって皮膚を固定していて、皮膚がくずれたり、歪んだりしないように強度を与えています。そしてその繊維状のコラーゲンの間を埋めて圧縮力に抵抗して支えている物質が水分をたっぷり含んだヒアルロン酸なのです。
ところが加齢とともに体内各部のヒアルロン酸が減少しはじめ、それに伴ってコラーゲンも変質し、結果的には皮膚がたるんで弾力性を失ったり、しなやかさがなくなっていくのです。
化粧品は人の大切な顔や肌などの皮膚に直接つけるため、まず、その安全性が重視されなければなりません。鶏のトサカから抽出・加工されたヒアルロン酸(ECM-E)は、鶏そのものが古くから食品として、また食材として用いられてきていることからもわかるように安全性に関しては全く問題はありません。しかし、外用化粧品の場合には、比較的安価にして大量に生産が可能なバイオ・ヒアルロン酸が主流となっています。これらの外用化粧品では皮膚の表面が部分的に潤うだけで、真皮まではなかなか浸透せず効果が得られないことが多く、ここに外用化粧品としての限界があります。
そこで、研究・開発されたのが鶏のトサカから抽出されたヒアルロン酸を含む、食べるヒアルロン酸です。つまり、ヒアルロン酸を経口摂取することによって、ヒアルロン酸が減少している体内環境の改善や活性化を図り、皮膚や肌さらには体全身の若返りを図ろうとするものです。
近年では、コラーゲンと同じようにヒアルロン酸も注射によってしわや肌の荒れを改善・修復する方法も行われるようになってきましたが、問題も少なくありません。というのは、コラーゲンの半減期(半分に消耗するまでの期間)は6ヶ月もあるのに対し、ヒアルロン酸は1〜2週間以内といわれています。表皮ではわずか1日で半分を消耗し、2〜3日ですべてが入れ替わります。つまり、コラーゲンはかなり長持ちするのにヒアルロン酸はすぐになくなってしまうということです。ということは、ヒアルロン酸の代謝は大変早いことを意味するだけでなく、大変不足しやすい物質であるともいえるでしょう。そのうえ、ヒアルロン酸などの注射はかなり高価であるため、簡単には利用できません。このように、食べるヒアルロン酸が開発されたことは画期的な発見であり、体内から細胞の活性化を図ることによって老化防止も夢ではなくなるかもしれません。
このような画期的な発明と技術の進歩によって今まであきらめかけていた弾力性に富んだ若々しい肌を取り戻したり、維持できるようになってきたことは、女性にとって大変明るい、また魅力ある朗報といえましょう。
ヒアルロン酸の持つ高い保水性と水に溶けたときの粘性と弾性を生かし、今後の研究によってさらに新しく効果のある製品が開発されるものと期待されるところです。
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(2)医療品分野での利用
ヒアルロン酸は弾力性と保水性の特徴を生かし、また生体成分であるという安全面での信頼度もあって、医療面でも利用されています。
もともとヒアルロン酸は、牛の眼球から発見されたという経緯もあって、1970年代には眼科領域における医薬品として用いられるようになり、現在でも広く使用されています。たとえば、白内障の手術に伴う人口レンズの挿入時の補助剤として、また、角膜の保護をしたり、角膜の移植、網膜剥離、さらには緑内障などの治療には不可欠な薬剤として用いられています。また、近年では目の乾きを防ぎ、痛みをやわらげ、潤いをもたせるドライ・アイ用(涙液が不足して起きる目の疾病)の目薬としても使用されています。
整形外科の領域では、関節炎などの炎症をはじめ、変形性関節炎、関節の骨の傷みや異状をもたらす慢性関節リウマチなどの治療にヒアルロン酸が注射剤として使用されています。関節はヒアルロン酸をたっぷり含む滑液(細胞外マトリクス)によって骨と骨との摩擦を避け、効果的に活動や運動ができるようになっており、これらの機能が低下した場合や磨耗した軟骨の修復などの潤滑剤として役立っています。
一方、ヒアルロン酸には、創面の治癒を促進する効果が認められているため、切り傷や火傷などの治療薬として皮膚科領域でも塗布剤や注射剤として用いられています。さらに、ヒアルロン酸は細胞や組織を固定したり、一定の形状に保持する性質と機能を持っているため、これを利用して外科手術後の組織の癒着防止用などにも使われています。
このようにヒアルロン酸は医療分野で幅広く用いられています。ヒアルロン酸が細胞や組織を活性化して肌を若返らせることができることから老化の防止や老人に特有な病気の予防・治療などにも今後ヒアルロン酸の研究成果が大きく役立つことが期待されています。たとえば、動脈硬化症や老人性萎縮症といわれる老化に伴う体内臓器の萎縮や大脳の変化等はすべてヒアルロン酸の極度の減少が体内組織・細胞の水分の欠乏を招き、これが要因となって身体が枯れていく現象と考えられますが、このようなヒアルロン酸の現象と老化の関係、さらには免疫賦活作用や抗腫瘍作用などについても大きな期待が持たれています。
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(3)食品分野での利用
ヒアルロン酸の機能や製造方法の研究が進むにつれ、化粧品や医薬品に使用されるヒアルロン酸も用途に合わせて様々なタイプが商品として販売されるようになってきました。
最近になり、ヒアルロン酸の新しい用途として食品が登場しています。ヒアルロン酸を含む食物には、たとえば、鶏肉、豚肉、牛肉などの他、特に鶏のトサカに多量に含まれていることが知られており、歴史的にみるとフランスや中国の王侯貴族たちの間では、トサカ料理が美容に良いといわれ、古くから食されてきたという経緯があります。ところがこれらのヒアルロン酸含有食品を経口摂取しても十分な量が得られないとも考えられます。ヒアルロン酸は一部食品の増粘剤としても用いられてきており、近年では、ムコ多糖を用いた健康食品も開発されるようになってきましたが、ヒアルロン酸の分子量は、たとえばコラーゲンの分子量に比べて数十倍という大変大きいものであるため、これを食べても簡単には吸収されないという問題があります。
そこでこの問題を解決すべく研究開発されたのが、低分子ヒアルロン酸吸収用食品(ECM−E)。栄養学的機能、感覚的機能、生体調節機能、疾病予防および健康の保持増進などの諸機能を備え、かつ吸収されやすく、その効果が十分に見られる機能性食品としての食べるヒアルロン酸なのです。
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